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2013年7月30日更新

夏の市場~ご馳走と手仕事と音楽~

 「福祉のまちづくりに協力を」、と言われたら。多くの方が賛同します。反対する人はあまりいない(でしょう)。けれど、どこか遠い出来ごとみたいに感じる。脳損傷者のまさしさんが、今動かせる右手で最大限の生活の工夫をしていることや、難病のさおりさんが、どんな思いで暮らしているのか、想像するのは難しい。思いを馳せることは簡単そうですが、体験してみないと分からないことが沢山ありそうです。  エテ・マルシェは高次脳機能障害がある方たちが主催するイベントです。人生の途中で障害を持つということ。突然のアクシデントを受容するには、まず自分との向き合い、そして身近な人の支え、更には暮らす地域の周辺的サポートが必要です。身近な地域でどんな日常の営みがあるか。それをお伝えしたい。  気分は夏の市場です。新鮮な野菜、焼き立てのパン、手間暇惜しまぬ手仕事。障害を持つ当事者の方とコミュニティーの方が参加します。  哲学者の長谷川宏さんは「陽が昇り、陽が暮れる、日常の中で互いを案じることが大切だと強く感じる。コミュニティーでは時間を深めることが出来る。」と語ります。にぎわいの中でいつもの人と出会い、いつもの会話をはずませ、いつもの歌に心を和ませる。  エテ・マルシェで、花子さんは歌う。登さんは、病のため閉じた居酒屋の再開を目指して焼き鳥を焼く。みんな役割を果たすことが、大きな励みになります。  誰にでも出来ること、今から出来ること。ていねいに暮らすことから、まず始めてみます。