ふらっと暦 葉月

2025年8月16日更新

今、短期入所で一人暮らしにむけた訓練をしている。

病気になる前も、なってからも、親には色々と世話になってきて、身の回りのことはほとんど母がしてくれた。両親も高齢になり、現実的に将来のことを考えるようになった。

当たり前に在ったものも、いつかはなくなる。今いる人が急にいなくなることもある。それなら在るうちに、その時に備えておきたい。危ない橋も今なら渡れるんじゃないかと。実家暮らししかしたことがなくて、家事の経験もなく、一人でやっていけるだろうか。でも、出来るか出来ないかの前に、まず体験してやってみなくちゃ。

一人暮らしを想定した短期入所は、家にいるときとは全く違う。全て自分がやらないと誰もやってくれない。実際にやってみると、一つ一つが普通に生きていく上で大事なことばかりと気がついた。掃除洗濯・・・麻痺がある身体でする家事はどれも簡単ではなく、パンツ一枚干すのにも最初は何十分もかかった。少しずつ工夫して今は全体の八割くらいは出来るようになったと思う。今後、長期間の自立生活体験入所にも、チャレンジしたいと思っている。

一人暮らししたら、倒れてからずっと励まし続けてくれた仲間達と遊びたい。リハビリを頑張って杖で歩けるようになれたのも、「車椅子じゃあいつらと遊べない」と思ったから。今はもう大人になって、あの頃みたいに隠れてコソコソ飲む必要はないから、堂々と、元気だったら普通にやれていたことをやりたい。実家は駅から遠いから、一人暮らしの部屋は駅の近くにして、皆を呼びたいな。

二〇二五年八月
(ふらっとメンバー)K・K

(「ふらっと暦」は、利用者の方々の毎日を写真と文章でふりかえる施設内広報誌で、題字は利用者の方の自筆です。表紙のみHPに掲載しています。)