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ふらっと暦 霜月

2025年11月12日更新


チラシのデザイン画、来年のカレンダーと自分でも呆れるほど忙しい。つい先日、イラストの作品展を終えたばかりなのに十二月に〈作品展〉をやらないかと誘われている。
それでも、人生は短いと分かったから、心が動いたことは何でもやると決めた。一方「あれ?」と疑問に思うことには手を出さない勇気も身につけた。
父の影響で、幼い頃からよく絵を描いていた。入院中に友達からもらったスケッチブックと色鉛筆で、花や車、好きなイタリアの風景を描き始めた。左手で描くのは生まれて初めてで、どうやって描いたらいいのかすら分からなかった。
退院後、インテリアデザイナー時代に使っていたマーカーがいっぱいあることを思い出し、北海道でネイチャーガイドをしていたパートナーが撮った動物の写真を描き写し始めた。不安定な筆圧で描く点のような線が、かえって毛や羽の柔らかさになった。
題材は、これまでの動物から、今年「私」を表す左手にペンを持って右足に装具をつけた少女を描いている。少女の傍らには必ず動物が寄り添ってくれる。
懸命にリハビリに励んでいた時、色々なことが重なって心が折れ、毎日死ぬことばかり考え自分に未来はないと思っていた時期がある。一人残った母が繋いでくれた命だと気付いた時、また頑張ろうと思えた。
夢は北海道と東京を行き来しながら作品を描いて個展をする生活。
「それはいつ?」と質問され「来年!」と即答すると、「それは夢じゃなくて予定でしょ!」と笑われた。
でも一年前も二年前も、一年後の自分を想い描いてきたんだもの。左手のペンと右足の装具の少女の夢は、毎年更新されて進んでいくのだ。

二〇二五年十一月
(ふらっとメンバー)K・Y

(「ふらっと暦」は、利用者の方々の毎日を写真と文章でふりかえる施設内広報誌で、題字は利用者の方の自筆です。表紙のみHPに掲載しています。)


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