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ふらっと暦 水無月

2026年6月8日更新

企業の健全性を内外から調査するという仕事は、遣り甲斐があった。仕事中に倒れたのは、次男を妊娠して七か月の時。脳の血管に生まれつき奇形があることは既に判っていたので、長男は帝王切開で産んだ。次男も帝王切開で産めば大丈夫だと思っていたのに、予定日よりもはるかに早く脳出血を発症してしまった。

次男も自分も最初はICU。初乳をあげられたのはよかったけれど、一足先に退院した子どもを、夫が朝保育園に送り、母が迎えに行って夕食から寝かしつけまでをしてくれた。感謝している。

病気の前の母親を知らない次男は、高二。スーツを着て保育園に迎えに行く姿を知っている長男は、社会人二年生になった。私の母は、こんな風に産んでしまってごめんねと何度も言ったけれど、もちろん母のせいではない。受け止め方は家族でもそれぞれ違う。私は命が助かって、子どもも元気に生まれて、それはとても運がよかったのだ。

例えば、世の中である確率で脳出血になる人がいるのなら、私がその一人になったことで、周りの誰か一人はならないで済んだのかもしれない。もしそうなら、それは私でよかったんだと思うようにしている。そう思うことで自分の運命を受け止めているのかも。

将来はまだ描けないけれど、車椅子ではなくて杖だけで歩けるようになりたいと思い、春から新しい病院でリハビリを始めた。良い意味でも悪い意味でも、「何とかしてやる」という気持ちも、現在進行形。まだ、私の中で病気は終わっていないのだと思う。

杖で歩けるようになったら、まずは旅行に行きたい。違う景色が見えるかもしれないから。したいことは、自分を取り戻すことかもしれないな。

二〇二六年 六月 (ふらっとメンバー Y・E)

(「ふらっと暦」は、利用者の方々の毎日を写真と文章でふりかえる施設内広報誌で、題字は利用者の方の自筆です。表紙のみHPに掲載しています。)


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