「私たち、同僚」
じゅんさんとのぶ子さん二人は、ケアセンターふらっとを利用しながら、「区立ウッドペッカーの森」と云う事業所も利用している。
梅丘駅前にある「ウッドペッカーの森」では、軽作業を通しながら「仕事」の体験を重ね、スキルの向上をはかる事業所です。軽作業では「工賃」も支払われます。
じゅんさんは「事故から初めて得た給料だから使えません」と話してくれました。
のぶ子さんもじゅんさんも同じ「記憶障害」が後遺症であるのですが、ある日の二人の会話に臨場したところ…
「僕たちウッドペッカーに行ってるけどさ、正直昨日行ったか?と聞かれると覚えてないよね」
「そうそう、わたしも全然覚えてない。誰かヒントくれないと思い出せない!」
「一緒だよ、僕はバイク事故で、覚えられなくなっちゃったけど、のぶ子さんはどうして?」
のぶ子さんの返答に間があると「アー僕悪いこと聞いちゃったんだね、ごめんね」とじゅんさん。
「違うの、思い出すのに時間がかかっただけ」
私はこの二人の会話に驚いた。記憶障害があるということを二人とも覚えており、且つヒントがないと困ることを互いに共感し、これまで周囲の空気が読めないことからトラブルがあったじゅんさんが、自ら相手の困っている様子をくみ取り謝るとは…。
回復することが難しいと言われている記憶障害も、時間をかけ、出会い、共感しあう相手が居ることで、こんなにも変わっていくことに立ち会えた幸せをかみしめた師走のふらっとである。
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