高次脳機能障害を理解しよう – その2

2017年6月16日更新

高次脳機能障害の主な症状

高次脳機能障害の主な症状を基本知識としてご紹介します。

注意障害

「注意」とは、外部の環境からの刺激に煩わされることなく、特定の対象に意識を集中する能力のことです。注意障害は、高次脳機能障害といわれる人であれば、ほとんどの人に軽~重度と、幅はありますがその症状があるといってもよいかもしれません。

集中して勉強や仕事をすることができたり、車の運転などができるのもこの注意によるものです。ある対象に注意を向けつつも他の対象にも注意を向けたり、まんべんなく注意を向けたりといったことも必要となります。例えば、車を運転する際にもただハンドルを握って前だけ見ているといった一つの動作に集中するだけではなく、自分の車の状況(スピードやどこを走っているかなど)や、周囲の状況(他の車や路面状況、信号や歩行者など)を見ながら、たえず注意をさまざまなところに向けたり、視線も前方やバックミラー・サイドミラーなどを見たりしながら、注意の配分をバランスよく保ちながら運転します。

しかし、注意障害があると、一つのことに長い時間集中することができなかったり、ちょっとした刺激で他に注意が向いてしまう、一つのことに集中すると他の刺激が入らない(作業をしていて名前を呼ばれても気がつかない)などといったことが起きます。

TOPへ戻る

記憶障害

記億は、情報をある時間保持する働きです。その記億過程は記銘(覚える)・保持(貯える)・想起(思い出す)という3段階に分けることができます。

記憶は、昔の体験や知識など、ことばで述べることが出来る記憶である「陳述記憶」と、自転車の乗り方や泳ぐ・・・など、身体で覚えている記憶と言われる「手続き記憶」に分類されます。また、日常生活に関わる記憶で、個人的な過去の体験に関する記憶である「エピソード記憶」と、「東京は23区ある」など社会的な情報や勉強によって蓄えた知識である「意味記憶」は、陳述記憶に含まれます。

保持時間によっても分類され、少量の情報を短期間保持することを「短期記憶」、そこから選択的に長期間貯蔵されたものを「長期記憶」と言います。記憶障害とは、これらの記憶にまつわる機能が損なわれる状態をいいます。

TOPへ戻る

失語症

言語機能を獲得した後に、大脳の言語中枢に何らかの損傷を受けると、言語を操る能力に障害が生じます。言語中枢はほとんどの人の場合、左の脳にあるため、右半身の麻揮を伴うことが多いです。

失語症と聞くと真っ先に「言葉が話せない人」と思われるかもしれませんが、話すことだけができない場合は、別の言語の障害です(発語器官の運動の障害によっで生じる構音障害など)。失語症は話すことだけでなく、言語の理解面(言葉を聞いて理解することや文字・文章を読んで理解すること)にも障害が生じます。聞く・話す。読む・書くといったすべての言語様式に何らかの症状が現れます。また大脳の損傷部位やその大きさによって、失語症の症状や障害の程度は人によって異なります。

言葉を聞いて理解することの障害は、耳は聞こえているのに言葉の意味がわからなかったり、早口や長い話だと十分に理解できなくなります。重度の人の場合は、身の回りの品物の名前や話しかけられた言葉の内容がほとんど理解できないこともあります。しかし、失語症の人は状況から物事を判断したり考えたりする能力は保たれており、状況にあった適切な行動がとれます。私たちが外国に行った時のことを想像するとよいでしょう。言葉そのものを厳密に理解しているわけではありませんが、レストランで店員が近づいてくれば「注文を取りにきたな」と察しがつくのと同じです。

話すことの障害はいろいろな症状がありますが、最も多いのは喚語困難(かんごこんなん)という症状です。頭ではわかっているのに、言いたい言葉が出てこないことをいいます。私たちでもあの人の名前が出てこないということがありますが、失語症の場合は、明らかに知っているはずの物の名前が出てきません。日常の場面では、「ほら、こうやって…朝…」(歯ブラシのこと)、 「あの、あそこ、高い建物…」(六本木ヒルズのこと)など、遠回しの表現をしたりすることもあります。

錯語(さくご)は、言葉を言い間違えることをいいます。手袋を「帽子」と言うなど単語ごと言い間違えたり、机を「すくえ」と言うなど語の一部の音を言い間違えたり、言い誤りがひどくなると全く違うことばになってしまうこともあります。

また、発語失行といって口唇や舌が麻痺しているわけではないのに、発音が努力的でぎこちなく、たどたどしい話し方となる人もいます。

このような発話の障害があっても、失語症の人は歌を上手に歌うことがあります。歌は右の脳が関与しているためです。また、数字や曜日などの系列語を順番に唱えることも比較的楽にできます。古文の先生だった人が「祇園精舎の…」と見事に平家物語の出だしを暗唱することもあります。

TOPへ戻る

遂行機能障害

遂行機能とは、簡単にいうと目標を設定し、計画を立て、その計画を実行しその行動の過程で自分の行動を確認、振り返るという作業になります。

映画を見に行きたいと思ったときには、映画の始まる時間、交通機関、所要時間などを調べて把握し、行動の時間配分を考えなければなりませんが、遂行機能障害があるとそれがうまくできなくなり、映画の始まる時間に間に合わなかったり、計画が立てられないなどということが起きてしまいます。

TOPへ戻る

行動と情緒の障害

依存的になり子供っぽくなったり、感情のコントロールがうまくできずにすぐに怒ったり泣いたりする、欲求が抑えられず欲しいものを買ってしまう、お金があるだけ使ってしまう、などといったことが起きてしまいます。

高次脳機能障害といわれている方と私たちが接する場合、その症状は一つにも見えますが、その原因となる症状は幾つかあり、それらが複合していたり陰に隠れて見えていなかったりしていて、その本質を簡単に見極めることはできないことが多いと考えられます。

例えば、自発性の低下・意欲低下という言葉が出てきますが、その原因としては前頭葉症状、注意障害、麻揮や失語、身体機能低下に対するうつなど精神症状からくるものなどさまざまなものがあり、それらが複雑に絡み合っていることもあるからです。また、遂行機能障害でも純粋に行動を順序立てることができないことが原因ではなく、記憶障害や注意障害があることによってうまくできないということも考えられます。

TOPへ戻る

どこに相談したらいいの?

高次脳機能障害は、事故、脳血管障害、低酸素脳症などの後遺症です。なかなか外見からはわかりにくく、まだ医療・福祉の支援も充分とは言えない 障害です。 ケアセンターふらっとでは、高次脳機能障害に関するどんな小さな悩み、不安でも、いつでもご連絡ください。ひとつひとつ一緒に、問題を解決していきます。 地域の関係機関とも充分連携を取る体制が可能です。

ケアセンターふらっと

電話 03-5712-5105
受付:10:00〜17:00(平日・土曜)
ファクス 03-3410-3813
所在地 〒154-0002
東京都世田谷区下馬2-20-14
パーム下馬
TOPへ戻る