東京での日々

2013年11月13日更新
 「ココカラ。徒然ブログ」で6月に登場した西村太助さん。この秋でケアセンターふらっと自立訓練グループを修了し、故郷の松江で仲間と一緒に新しい仕事にチャレンジします。
 東京での暮らしを振り返りながら、その歩みを2回にわけて綴る前編です。

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 高次脳機能障害のある人の一人暮らしは、決して容易なものではない。
 後遺症である「易疲労(いひろう)」は、太助さんの生活を阻害した。「疲れた」という自覚はない。ぼーっとしていたり、応答がいつもより遅かったり。結果不機嫌になる。決められた時間にベッドで横になることにした。自分からも「休んでいいかな」と言えるようになった。
 記憶障害のある太助さんは、新しいことを覚えることが苦手だ。それでも好きなiPhoneやiPadはすぐに手に入れ、操作を覚えることも容易だ。そこへ忘れてはいけないことを入力する。しかし、いざ思い出そうとするときには「どこかにメモしたよね」と誰かの言う声かけが必要となる。様々な高次脳機能障害を、時間をかけながら対処方法を手に入れ、身につける。時間はかかるが根気と工夫の積み重ね。まさにリハビリテーションである。
 苦手なことばかりではない。太助さんの得意なことの一つに「プレゼン上手」がある。見知らぬ人に声をかけ、自身のことを紹介したり、土曜市では営業マンに徹する。この「強み」を生かして地元松江に帰る。そして保育園で一緒に過ごした友達がやっている有機食品販売「ゆうきネット山陰」に参加することになった。太助さんの仕事の下準備に、松江を訪れれば「いつ帰って来る?」「どんな仕事ならできる」「出来ないことは?」矢継ぎ早の質問が元保育園仲間3人から飛び出す。一緒にやろう!待ってる!
 暖かい思いが伝わる。どんな仕事に太助さんが取り組むことになったのか、後編でご紹介します。

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