「あきらめない」

2018年4月30日更新

   久しぶりにノボルさんと話をする機会に恵まれた。このコラムにも何度も登場していただいている。

 52歳で脳出血。瀕死の状態から奇跡の回復を私たちは共に歩いた。下北沢でもっていた居酒屋の店主は、何としても「店又ヤル」と言葉にし、車いすから自力歩行へ。通所バスから一般交通機関。焼き鳥串さしアルバイトも見つけた。

 何となく次のステップへと思い始めた7年後、再度の脳出血、度重なる発作。入院中の骨折と入退院を繰り返した。時を経て還暦も過ぎ、通所バスを利用し歩行も何とか自力で…と言う状態となった。あらためて話しを聴く。

 お互いに年取ったね?「アハハ!だね!」
 ここの所入退院で大変だったけど、やっぱり年だよね?「チガウヨ!」
 えっ?年のせいではなくて病気のせい?「オー」
 じゃあ店を開く目標は変わらない?「そうだよ」
 無理じゃないの?「大丈夫ダ!店やる!」

と力強く返事をし、顔は笑いながらも目には涙を浮かべていた。

 何で泣くの?「泣いてなんかいねー」
 店やるのはいいけど、最近スグに座っちゃうでしょ?立っていられないと店で仕事できないよね、それ年のせいじゃないの?「チガウ!ビョウキ!」
 じゃ困っている?立ってられなくて?「コマッテルヨ!」
 じゃーPTさんに相談する?「相談するよ!」

と満面の笑みだった。目標はひとつ!決してぶれないノボルさんの人生に出会った、大切な時間をいただいた。


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